薬師寺の見どころ 6選

奈良市中西部の西ノ京地域に位置する薬師寺は、東大寺、興福寺、唐招提寺、法隆寺等と共に奈良を代表する寺院の一つで、白鳳末期から奈良時代にかけての重要な仏像、絵画、建築を複数有しています。

1. 金堂 薬師如来坐像

飛鳥〜奈良時代(8世紀初め)、国宝

金堂に安置されている本尊の薬師如来坐像。白鳳期あるいは天平期の制作(薬師寺は平城京の造営の際に飛鳥から奈良に移転したが、金堂の薬師三尊像はその際に飛鳥から持ち込まれた像なのか、それとも平城京で新規制作された像なのか説が分かれている)。台座には、異国風の神像、人物等のモチーフの装飾が施されている。

薬師如来坐像
薬師如来坐像

2. 金堂 日光・月光菩薩立像

飛鳥〜奈良時代(8世紀初め)、国宝

金堂の本尊薬師如来坐像の脇侍像。白鳳期あるいは天平期の制作(制作年代についての詳細は薬師如来坐像の項目を参照)。

日光・月光菩薩立像
日光・月光菩薩立像(両脇)

3. 東院堂

鎌倉時代(1285年)、国宝

薬師寺伽藍の南東部、回廊の外に位置する仏堂で、堂内には聖観音菩薩立像が安置されている。

東院堂
東院堂

4. 東院堂 聖観音菩薩立像

飛鳥〜奈良時代(8世紀初め)、国宝

東院堂の本尊の聖観音菩薩立像。金堂の薬師三尊像同様、制作が飛鳥で行われたか平城京で行われたかについては議論が分かれている。

聖観音菩薩立像
聖観音菩薩立像

5. 東塔

奈良時代(730年)、国宝

薬師寺の建物のうち奈良時代の創建時から残っている唯一の建築。三重塔だが、一層ごとに飾りの屋根が一層付いており、外見上は六層の塔に見える珍しい建築様式。塔の先端の相輪の先には天人を象った金属装飾(水煙)が施されている。2019年まで大規模な解体修理中で、見学できない。

東塔
東塔

6. 吉祥天像

奈良時代(8世紀)、国宝

仏教の守護神の一つ吉祥天を描いた絵画で、奈良時代の絵画の貴重な作例。吉祥天を本尊として五穀豊穣と国家の安泰を願う、吉祥悔過という仏教儀礼の本尊として制作されたと考えられる。通常非公開で、毎年原則1月1日から15日のみ公開される。

吉祥天像
吉祥天像


[参考文献]
長岡龍作『日本美術全集 第2巻 飛鳥・奈良時代Ⅰ 法隆寺と奈良の寺院』、小学館、2012年、p274−277
浅井和春『日本美術全集 第3巻 奈良時代Ⅱ 東大寺・正倉院と興福寺』、小学館、2013年、p240
山本勉『日本美術全集 第7巻 鎌倉・南北朝時代Ⅰ 運慶・快慶と中世寺院』小学館、2013年、p266


[画像出典]
Yakushiji Nara11s5bs4200.jpg by 663highland (東塔)
Yakushiji Toindo.jpg by KENPEI (東院堂)