東大寺の見どころ 18選

奈良市の中心街の東部、若草山の麓に位置し、奈良を代表する観光地である東大寺は、通常大仏や鹿のイメージで思い描かれがちですが、それ以外にも天平美術をはじめとする仏教美術の傑作が多数所蔵されており、美術面での見どころも豊富です。

東大寺の数多い建築、仏像、美術品の中から、特に見どころと思われる18件をまとめました。

1. 南大門

鎌倉時代(1199年)、国宝

東大寺の南側入口に位置する門。創建は奈良時代だが、現在残っている門は平重衡の南都焼討後に再建されたもの。宋代の建築様式に倣ったいわゆる大仏様建築の代表的な作例で、門内には運慶、快慶等制作の金剛力士像が設置されている。

南大門
南大門

2. 南大門 金剛力士像

鎌倉時代(1203年)、国宝

南大門の内側左右に設置されている2体の力士像(阿形像、吽形像)。鎌倉時代の仏師4人(運慶、快慶、定覚、湛慶)の合作で、像の造形は宋代の図版を手本にしたと推定される。像高8mを超える巨大像。

南大門 金剛力士像 阿形像
南大門 金剛力士像 阿形像

3. 大仏殿

江戸時代(1691年)、国宝

東大寺の中心に位置する建物で、内部には有名な盧舎那仏坐像(大仏)が鎮座する。現存する建物は江戸時代の再建。

大仏殿
大仏殿

4. 盧舎那仏坐像

奈良時代(752年)、体部補作 鎌倉時代(1185年)、頭部補作 江戸時代(1692年)、国宝

いわゆる「大仏」。
体部は南都焼討での焼損後、頭部は三好・松永の兵乱(1567年)での焼損後にそれぞれ補作されたもので、造立当初の奈良時代から残っているのは、体部のごく一部と台座の一部のみ。台座の蓮弁には、天平期の装飾が比較的良い状態で残っている。

盧舎那仏像 (大仏)
盧舎那仏像 (大仏)

5. 金銅八角燈籠

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

東大寺大仏殿前に位置する八角形の灯籠。側面には菩薩像をかたどった優れた装飾板が施されており、東大寺ミュージアムでその原物が展示されている。燈籠本体には、現在レプリカの装飾板が入れられている。

金銅八角燈籠 羽目板
金銅八角燈籠 羽目板

6. 法華堂

正堂 奈良時代(8世紀) 礼堂 鎌倉時代(12世紀)、国宝

東大寺の敷地東部の丘状地帯(上院地区)に位置する仏堂で、奈良時代建造の正堂と鎌倉時代建造の礼堂が接合された複合建築。正堂は、東大寺に残る数少ない創建当初からの建築。堂内には、不空羂索観音、執金剛力士立像等、天平仏の傑作が安置されている。

東大寺 法華堂
東大寺 法華堂

7. 法華堂 不空羂索観音立像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の本尊で、東大寺を代表する仏像の1体。像高360cm余の巨像で、頭上には宝冠が載せられ、8本の腕を有する。東大寺の前身寺院の金鐘山房時代の制作(730年頃)と推定される。

法華堂 不空羂索観音
法華堂 不空羂索観音

8. 法華堂 梵天像、帝釈天像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の不空羂索観音の左右に設置されている脱活乾漆造の巨像(像高4m前後)。不空羂索観音に少し遅れた742年頃、以下の四天王像、金剛力士像と同時に制作されたと推定される。

9. 法華堂 四天王像

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

法華堂の須弥壇の四隅に設置されている四天王像。

法華堂 四天王像 広目天
法華堂 四天王像 広目天

10. 法華堂 金剛力士像

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

法華堂の不空羂索観音の前面左右に設置されている金剛力士像。

法華堂 金剛力士像 阿形像
法華堂 金剛力士像 阿形像

11. 法華堂 執金剛力士立像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の北面に設置されている秘仏で、東大寺を代表する仏像の1体。本尊の不空羂索観音と同時期の制作と推定される。通常は非公開で、毎年12月16日に開扉される。

法華堂 執金剛神立像
法華堂 執金剛神立像

12. 伝日光菩薩像、伝月光菩薩像

奈良時代(8世紀)、国宝

以前法華堂不空羂索観音の両脇に配置されていた2体の菩薩像で、東大寺を代表する仏像の1組。本尊の不空羂索観音と同時期の制作と推定される。日光菩薩、月光菩薩という像名は本来のものではなく、元々はそれぞれ梵天、帝釈天だったと推定される。法華堂の大規模修理(2010年~2013年)後は、東大寺ミュージアムに移して展示されている。

伝月光菩薩立像
伝月光菩薩立像

13. 二月堂

江戸時代、国宝

上院地区の法華堂の隣に位置する堂で、江戸時代の再建建築。毎年3月には、火の着いた松明を舞台上から振り回す所作で有名な修二会(お水取り)が行われる。

二月堂
二月堂

14. 戒壇院 四天王立像

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺の敷地の西端に位置する戒壇院に安置されている四天王像で、東大寺を代表する仏像の1組。
法華堂の大規模修理(2010年~2013年)の際、同堂内にこの四天王像の台座の痕跡が見つかり、元来は法華堂に設置されていた像と判明した。法華堂創建時には、同堂内で、不空羂索観音、伝日光菩薩・伝月光菩薩等と共に一組の仏像群を形成していたと推定される。

戒壇院 四天王像 増長天
戒壇院 四天王像 増長天

15. 転害門

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺の敷地の北西端に位置する門で、法華堂と並ぶ、数少ない東大寺創建当時からの建築の遺例。

転害門
転害門

16. 東大寺金堂鎮壇具

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺大仏殿の床下に埋められていた装飾品や工芸品一式。明治期の大仏殿屋根の修理(1907年〜08年)の際に発掘された。永らく創建の際に埋められた鎮壇具であると考えられてきたが、近年の調査の結果、聖武天皇の逝去後に供養等の目的で埋葬されたものである可能性が指摘されている。
代表的な作品は、金銀荘大刀、瑞花六花鏡、銀製鍍金狩猟文小壷、銀製鍍金蟬形鏁子等。東大寺ミュージアムで展示。

銀製鍍金狩猟文小壺
銀製鍍金狩猟文小壺

17. 俊乗上人坐像(重源像)

鎌倉時代(1206年頃)、国宝

鎌倉期、南都焼討後の東大寺の再建事業を担った僧重源の坐像。大仏殿東側山麓の俊乗堂という小さな堂宇に安置されており、運慶あるいは快慶作と推定される。通常非公開で、毎年7月5日、12月16日のみ特別公開される。

俊乗上人坐像
俊乗上人坐像

18. 僧形八幡神坐像

鎌倉時代(1201年)、国宝

元は、東大寺敷地東部に位置する神社 手向山八幡宮に安置されていた快慶作の神像で、明治初期の神仏分離の際に東大寺に移された。大仏殿西側敷地の勧進所に安置されている。通常非公開で、毎年10月5日のみ特別公開される。


[参考]
浅井和春『日本美術全集 第3巻 奈良時代Ⅱ 東大寺・正倉院と興福寺』小学館、2013年
山本勉『日本美術全集 第7巻 鎌倉・南北朝時代Ⅰ 運慶・快慶と中世寺院』小学館、2013年