美術館や主催社(新聞社、テレビ局)のウェブサイトで既に発表されている、2014年東京の美術館・博物館で開かれる展覧会の中から、特に期待できそうだと思ったものをピックアップしました。
年単位で予定を発表している美術館の展覧会については、2014年中の開催予定が確認できましたが、年度単位や不定期で予定を発表している美術館の展覧会については、現在公開されている情報だけを元にしています。
また、個人的に思う各展覧会の期待度を、★で表しています。
東京国立博物館
クリーブランド美術館展─名画でたどる日本の美
2014年1月15日(水)~2月23日(日)
アメリカ、クリーブランド美術館の日本美術コレクションから50点を展示。
雪村、曽我蕭白、河鍋暁斎の作品など。
期待度: ★
コメント:出品作品数は50点と少ないですが、雪村、曽我蕭白、河鍋暁斎等の秀作が展示されるようです。平成館の特別展示室 4室のうち2室を使う展覧会で、残りの2室では同時期に「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ― 人間国宝展」が開催されます。
クリーブランド美術館展─名画でたどる日本の美
開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」
2014年3月25日(火)~5月18日(日)
建仁寺と建仁寺を開いた栄西にゆかりの美術を展示。
俵屋宗達「風神雷神図屏風」(国宝)、海北友松「雲龍図」(重文)等
期待度: ★★
コメント:俵屋宗達「風神雷神図屏風」(国宝、江戸時代)が数年ぶりに東京で展示されます。風神雷神図屏風を次に東京で見られる機会はいつになるか分からないので、同作を見たい方には貴重な機会になると思います。
開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」
特別展 キトラ古墳壁画
2014年4月22日(火)~5月18日(日)
奈良のキトラ古墳の石室壁画を展示。
期待度: ★★
コメント:飛鳥時代の古墳壁画の貴重な作例であるキトラ古墳の石室壁画を東京で見られる、恐らく最初で最後の機会です。壁画は現在修復作業中で、全ての修復が完了した後は現地で恒久展示される予定のようです。
特別展 キトラ古墳壁画
台北 國立故宮博物院-神品至宝-
2014年6月24日(火)~9月15日(月)
期待度: ★★
台北の故宮博物院の作品を展示。孫過庭「書譜」(唐代)、高克恭「雲横秀嶺図」(元代)、翠玉白菜(清代)等。
コメント:台北の故宮博物館は中国美術の名作を多く所蔵していますが、その中から、書の名作 孫過庭「書譜」、元代の高克恭の代表作「雲横秀嶺図」、清代玉製品の代表作 翠玉白菜等が出品されるようです。
台北 國立故宮博物院-神品至宝-
日本国宝展
2014年10月15日(水)~12月7日(日)
期待度: ★★★
「祈り」をテーマに絵画・彫刻・工芸等を展示。展示作品は全て国宝で構成。出品作品は、縄文時代の国宝土偶数点、法隆寺 玉虫厨子(飛鳥時代)、興福寺東金堂 多聞天立像(平安時代)、雪舟「秋冬山水図」(室町時代、東京国立博物館蔵)、長谷川等伯「松に秋草図」(安土桃山時代)等。
コメント: 出品作品の全体はまだ分かりませんが、全作品が国宝だけで構成される展覧会で内容が非常に期待できそうです。同様の日本国宝展は直近では2000年に開催されていて、今回は14年ぶりの開催です。
日本国宝展
東京国立近代美術館
あなたの肖像─工藤哲巳回顧展
2014年2月4日(火)~3月30日(日)
戦後の前衛作家工藤哲巳の回顧展。
期待度: ★
あなたの肖像─工藤哲巳回顧展
国立西洋美術館
モネ展
2013年12月7日 (土) ~ 3月9日 (日)
国立西洋美術館とポーラ美術館が所蔵するモネ作品、近代美術作品を展示。
期待度: ★★
コメント: 両館のモネコレクションは普段常設展で展示されていますが、今回両館分の作品を合わせて見られるのは効率的かもしれません。
モネ展
東京都美術館
日本美術院再興100年 特別展 世紀の日本画
前期 2014年1月25日(土)~2月25日(火)、後期 2014年3月1日(土)~4月1日(火)
過去100年間に院展で展示された日本画の代表作品を展示。狩野芳崖「不動明王」、同「慈母観音」、橋本雅邦「龍虎図屏風」、今村紫紅「熱国之巻」等。
期待度: ★
日本美術院再興100年 特別展 世紀の日本画
バルテュス展
2014年4月19日(土)~6月22日(日)
バルテュスの大規模な回顧展。
期待度: ★
バルテュス展
東京芸術大学大学美術館
法隆寺-祈りとかたち
2014年4月26日(土)~6月22日(日)
法隆寺の仏教美術を展示。
金堂の毘沙門天(平安時代、国宝)、吉祥天(平安時代、国宝)、仏教絵画、昭和24年に焼失した金堂壁画の模写等。
期待度: ★★
コメント:出品される国宝仏像2点は平安時代の作品で、飛鳥仏を筆頭とする法隆寺の所蔵美術の中では必ずしも中核の作品という訳ではありませんが、秀作かと思います。他にも、重文の仏像、絵画が複数出品されるようです。
法隆寺-祈りとかたち
国立新美術館
イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる
2014年2月19日(水)~6月9日(月)
大阪の国立民族学博物館の所蔵品をアート的な視点から展示。
期待度: ★
イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる
中村一美展
2014年3月19日(水)~5月19日(月)
現代美術作家 中村一美の個展。
期待度: ★
中村一美展
オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由
2014年7月9日(水)~10月20日(月)
フランス、オルセー美術館所蔵の絵画展。ミレー「晩鐘」、マネ「笛を吹く少年」、モネ「サン=ラザール駅」等。
期待度: ★★
コメント: ミレー「晩鐘」、マネ「笛を吹く少年」、モネ「サン=ラザール駅」はいずれも各作家の代表作で、出品作品は厳選されている印象です。
オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由
森美術館
アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
2014年2月1日(土)~5月6日(火・休)
ウォーホルの作品、資料を包括的に紹介する大規模な回顧展。国際巡回展。出展作品・資料は700点。
期待度: ★★★
コメント:出品作品が700点に及ぶ大規模な回顧展です。国内の美術館で開かれる展覧会では大体数十点~200点位の出品作品が通常で、700点という数は群を抜いています。代表的な版画作品の他、ドローイング、彫刻、映像、個人的な書簡等、多様な作品・資料が展示されるようです。
アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界
2014年5月31日(土)~8月31日(日)
子供をテーマにした現代美術作品の展覧会。
期待度: ★
ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界
リー・ミンウェイとその関係展―あらゆるものとの”つながり”について考える
2014年9月20日(土)~2015年1月4日(日)
台湾出身の現代アーティスト リー・ミンウェイの個展。
期待度: ★
リー・ミンウェイとその関係展―あらゆるものとの”つながり”について考える
森アーツセンターギャラリー
テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢
2014年1月25日(土)~4月6日(日)
イギリス、テート美術館所蔵のラファエル前派の作家の絵画を展示。テート美術館で開催された展覧会の国際巡回展。
期待度: ★★
コメント:ジャン・エヴァリオット・ミレイ「オフィーリア」、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「プロセルピナ」等、ラファエル派の作家の代表作が複数展示されるようです。
テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢
根津美術館
燕子花図と藤花図
2014年4月19日(土)~5月18日(日)
根津美術館所蔵の尾形光琳「燕子花図屏風」(国宝)と円山応挙「藤花図屏風」(重要文化財)等を展示。
期待度: ★★
コメント:根津美術館の代表作品のひとつ尾形光琳「燕子花図屏風」は、毎年春に展示されるのが恒例です。展示構成は毎年違っていて、今年は円山応挙「藤花図屏風」等と一緒に展示されるようです。
根津美術館 年間スケジュール
東京都現代美術館
「驚くべきリアル」展 スペイン、ラテンアメリカの現代アート‐MUSACコレクション‐
2014年2月15日(土) ~5月11日(日)
スペインのカスティーリャ・イ・レオン現代美術館所蔵の現代美術作品を展示。27作家。
期待度: ★
「驚くべきリアル」展 スペイン、ラテンアメリカの現代アート‐MUSACコレクション‐
MOTアニュアル2014
2014年2月15日(土) ~5月11日(日)
国内の若手作家を紹介する毎年恒例の展覧会。
期待度: ★
東京都現代美術館 年間スケジュール
Bunkamura ザ・ミュージアム
シャヴァンヌ展
2014年1月2日(木)~3月9日(日)
シャヴァンヌの壁画作品、絵画を展示。
期待度: ★
シャヴァンヌ展
ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
2014年4月4日(金)~5月25日(日)
イタリア ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館所蔵の作品を展示。ポッライウォーロ「貴婦人の肖像」等。
期待度: ★★
ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
三菱一号館美術館
ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900
2014年1月30日(木)~5月6日(火・祝)
イギリス ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館等の所蔵品から、19世紀半ばイギリスの耽美主義作家の作品を展示。
期待度: ★★
コメント: 19世紀イギリスの唯美主義(耽美主義)的美術、工芸の作品が展示されるようです。森アーツセンター・ギャラリーのラファエル前派展と重なる時代を扱っていますが、ラファエル前派展が絵画中心のようなのに対し、こちらは工芸、デザインが中心のようです。
ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900
ヴァロットン展 ―冷たい炎の画家
2014年6月14日(土)~9月23日(火・祝)
オルセー美術館等による監修のヴァロットン回顧展。
期待度: ★
ヴァロットン展 ―冷たい炎の画家
ボストン美術館 ミレー展 ―傑作の数々と画家の真実
2014年10月17日(金)~2015年1月12日(月・祝)
アメリカ、ボストン美術館所蔵のミレーと他バルビゾン派画家の作品を展示。
ミレー「種をまく人」、「刈入れ人たちの休息(ルツとボアズ)」、「羊飼いの娘」など。
期待度: ★★
コメント: 特に有名な「種をまく人」をはじめ、上記3点はいずれもミレーの代表作です。
三菱一号館美術館 展覧会情報
サントリー美術館
高野山開創1200年記念 高野山の名宝(仮称)
2014年10月11日(土)~12月7日(日)
高野山の仏教美術を展示。運慶作制多伽童子像(国宝)、快慶作孔雀明王像(重文)等。
期待度: ★
サントリー美術館 これからの展覧会
東京都写真美術館
没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖
2014年3月4日(火)~5月6日(火・祝)
幕末~明治の写真家、下岡蓮杖の回顧展。
期待度: ★
没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖
江戸東京博物館
大浮世絵展
2014年1月2日(木)~3月2日(日)
国内外の浮世絵の代表作を展示。展示作品は約350点。
期待度: ★★
コメント: 浮世絵の母体となった肉筆画から、幕末・近代の浮世絵まで各時代の代表作が展示されるようです。出品点数も多いので、浮世絵をまとめて見るには良い展覧会かと思います。
大浮世絵展
世田谷美術館
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展
2014年6月28日(土)~9月15日(月・祝)
ボストン美術館所蔵の、ジャポニスム絵画、工芸、関連する日本の浮世絵等の展示。モネ「ラ・ジャポネーズ」、ゴッホ「子守唄(オーギュスティーヌ・ルーランの肖像)」等。
期待度: ★★
コメント:ボストン美術館が所蔵するジャポニスム(日本趣味)の近代西洋美術と、それに影響を与えた日本美術、工芸等が展示されるようです。出品作品中のモネ「ラ・ジャポネーズ」、ゴッホ「子守唄(オーギュスティーヌ・ルーランの肖像)」(5連作の1枚)はいずれも各画家の代表作です。
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展
※展覧会、リンク先等は新しい情報が分かり次第随時追加、更新する可能性があります。