唐招提寺の見どころ 8選

奈良市中西部の西ノ京地域に位置する唐招提寺は、東大寺、興福寺、薬師寺、法隆寺等と共に奈良を代表する寺院の一つで、寺が創建された奈良時代中期から後期にかけての建築や仏像を良く残しています。

1. 金堂

奈良時代(8世紀後半)、国宝

奈良時代後半に建造された唐招提寺の本堂で、奈良時代の本格的な金堂建築の現存唯一の例。堂内には盧舎那仏像、薬師如来立像、千手観音立像等が安置されている。

唐招提寺 金堂
金堂

2. 金堂 盧舎那仏坐像

奈良時代(8世紀後半)、国宝

金堂の本尊の盧舎那仏坐像。奈良時代後期を代表する仏像の1体。

唐招提寺 金堂 盧舎那仏坐像
盧舎那仏坐像

3. 金堂 薬師如来立像

奈良時代(8世紀後半)、国宝

本尊の盧舎那仏坐像の右に位置する薬師如来立像。国内の現存する薬師如来立像で最大の像。

唐招提寺 金堂 薬師如来立像
薬師如来立像(右)

4. 金堂 千手観音立像

奈良時代(8世紀後半)、国宝

本尊の盧舎那仏坐像の左に位置する薬師如来立像。5mを超える巨像(520cm)で、大小含め手を実際にほぼ千本有する数少ない千手観音の作例。

唐招提寺 金堂 千手観音立像
千手観音立像

5. 金堂 梵天、帝釈天像

奈良時代(8世紀後半)、国宝

盧舎那仏像の前方左右脇に設置されている梵天、帝釈天の二天像。

唐招提寺 金堂 梵天
梵天

6. 金堂 四天王像

奈良時代(8世紀)、国宝

盧舎那仏像の四隅に配置されている四天王像。

唐招提寺 金堂 四天王像像 多聞天
四天王像像 多聞天

7. 講堂

奈良時代(8世紀後半)、国宝

金堂の背後に位置する建物で、平城宮の宮殿建築(朝集殿)を移築したもの。移設の際と鎌倉時代の修理の際に建築様式に変更が加わっているが、古代の宮殿建築の唯一の遺例で、奈良時代の本格的な講堂建築としても現存唯一の例。

唐招提寺 講堂
唐招提寺 講堂

8. 鑑真和上坐像

奈良時代(8世紀)、国宝

唐招提寺を創立した鑑真和上の写実的な肖像彫刻。日本最古の肖像彫刻の遺品。御影堂に安置されている。

鑑真和上坐像
鑑真和上坐像


[参考文献]
浅井和春『日本美術全集 第3巻 奈良時代Ⅱ 東大寺・正倉院と興福寺』、小学館、2013年、p228−232


[画像出典]
Toshodaiji Nara Nara pref01s5s4290.jpg by 663highland (金堂)
Toshodaiji Nara Nara pref02s3s4560.jpg by 663highland (講堂)

興福寺の見どころ 20選

奈良公園の入口に位置し観光にも便利な興福寺は、中世から近代にかけて戦乱、火災、廃仏運動等で多くの建築や美術を失ったものの、未だに白鳳時代から鎌倉・室町時代に至る幅広い年代の仏教美術の宝庫です。

興福寺の建築、仏像、その他美術品の中から特に見どころと思われる20件をまとめました。

1. 東金堂

室町時代(1415年)、国宝

興福寺に3つ存在した金堂(中金堂、東金堂、中金堂)のうち、現在も残る唯一の金堂。室町時代の再建建築だが、天平建築の様式を継承している。堂内には薬師三尊像、四天王立像、十二神将立像等の仏像が安置されている。

東金堂
東金堂

2. 東金堂 薬師三尊像

薬師如来坐像:室町時代(1415年)、日光・月光菩薩立像:白凰~奈良時代、重文

東金堂の本尊の薬師如来坐像と、脇侍の2体の菩薩像。本尊の薬師如来坐像は、室町時代の東金堂再建時の制作。

東金堂 薬師三尊像
東金堂 薬師三尊像

3. 東金堂 維摩居士坐像

鎌倉時代(1196年)、国宝

東金堂の本尊薬師如来像の左前に配置されている、釈迦の弟子維摩居士の像。定慶作。

東金堂 維摩居士坐像
東金堂 維摩居士坐像

4. 東金堂 文殊菩薩坐像

鎌倉時代(1196年頃)、国宝

東金堂の本尊薬師如来像の右前に配置されている、文殊菩薩像。

5. 東金堂 四天王立像

平安時代、国宝

東金堂の須弥壇の四方に配置されている四天王像。

東金堂 四天王像 広目天
東金堂 四天王像 広目天

6. 東金堂 十二神将立像

1207年(鎌倉時代)、国宝

東金堂の本尊薬師如来像の周囲に配置されている、十二神将像。

東金堂 十二神将立像 真達羅像
東金堂 十二神将立像 真達羅像

7. 旧東金堂本尊(仏頭)

飛鳥時代(685年)、国宝

鎌倉時代に、飛鳥の山田寺から興福寺東金堂へ本尊として持ち込まれた白鳳仏。その後東金堂の火災により体部が消失し、頭部のみが残存している。国宝館で展示。

興福寺 旧東金堂本尊(仏頭)
興福寺 旧東金堂本尊(仏頭)

8. 板彫十二神将像

平安時代、国宝

板彫の十二神将像。かつては東金堂本尊の台座に貼り付けられていたと考えられる。国宝館で展示。

板彫十二神将像のうち伐折羅像、迷企羅像
板彫十二神将像のうち伐折羅像(左)、迷企羅像

9. 八部衆立像

奈良時代(734年)、国宝

阿修羅像、沙羯羅像、迦楼羅像等で構成される計8体の従者像。特に阿修羅像は造形の独創性が高い。かつては西金堂(現在は失われている)に本尊の眷属として設置されていた。国宝館で展示。

八部衆立像のうち阿修羅像
八部衆立像のうち阿修羅像

10. 十大弟子立像

奈良時代(734年)、国宝

釈迦の十人の弟子像で、現在はうち富楼那像、迦旃延像等の6体が興福寺に残っている。かつては西金堂(現在は失われている)に本尊の眷属として設置されていた。国宝館で展示。

十大弟子立像のうち富楼那像
十大弟子立像のうち富楼那像

11. 金剛力士立像

鎌倉時代(13世紀初め)、国宝

元は西金堂に設置されていた2体1組の金剛力士像で、東大寺南大門の金剛力士像と並んで鎌倉時代を代表する金剛力士像のひとつ。国宝館で展示。

金剛力士立像 阿形像
金剛力士立像 阿形像

12. 天燈鬼・龍燈鬼立像

鎌倉時代(1215年頃)、国宝

灯籠を持つ2体1組の鬼像。かつて西金堂に設置されていた。国宝館で展示。

龍燈鬼立像
龍燈鬼立像

13. 五重塔

室町時代(1426年)、国宝

東金堂の隣に立つ五重塔で、室町時代の再建建築。東寺の五重塔に次いで日本で2番目の高さ(50m)の木造塔。

五重塔
五重塔

14. 北円堂

鎌倉時代(1210年)、国宝

興福寺の敷地西部に位置する、八角形の小規模な堂宇。鎌倉時代の再建建築で、堂内には運慶一門作の弥勒如来坐像、無著菩薩・世親菩薩立像等が安置されている。普段内部は非公開で、例年春と秋に各2週間程度特別公開される。

北円堂
北円堂

15. 北円堂 弥勒如来坐像

鎌倉時代(1212年)、国宝

北円堂の本尊で、運慶晩年の作。鎌倉時代の再建期に、同堂の無著・世親菩薩立像等と同時に制作されたと推定される。通常非公開で、例年春と秋に各2週間程度特別公開される。

北円堂 弥勒如来坐像
北円堂 弥勒如来坐像

16. 北円堂 無著・世親菩薩立像

鎌倉時代(1212年)、国宝

北円堂の本尊弥勒如来坐像の脇に設置されている、古代インドの兄弟の学僧、無著と世親の像。運慶晩年の作。通常非公開で、例年春と秋に各2週間程度特別公開される。

北円堂 無著菩薩像
北円堂 無著菩薩像

17. 南円堂 不空羂索観音菩薩坐像

鎌倉時代(1189年)、国宝

興福寺の敷地西部に位置する、南円堂の本尊。平重衡の南都焼討(1181年)で創建以来の南円堂と本尊が焼失した後、康慶一門によって再興された。普段は非公開で、毎年原則10月17日のみ公開される。

南円堂 不空羂索観音菩薩坐像
南円堂 不空羂索観音菩薩坐像

18. 南円堂 法相六祖坐像

鎌倉時代(1189年)、国宝

南円堂に安置されている、奈良時代から平安時代初めに奈良で活躍した法相宗の高僧6人の像。康慶一門作。普段は非公開で、毎年原則10月17日のみ公開される。

南円堂 法相六祖坐像 伝玄昉像
南円堂 法相六祖坐像 伝玄昉像

19. 南円堂 四天王立像

鎌倉時代(1212年頃)、国宝

南円堂の本尊 不空羂索観音菩薩坐像の周囲に配置されている四天王像。近年の研究で、元来北円堂の弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像と共に運慶一門によって制作された四天王像で、後代に南円堂に移されてきた像との説が有力になっている。普段は非公開で、毎年原則10月17日のみ公開される。

南円堂 四天王立像 多聞天
南円堂 四天王立像 多聞天

20. 三重塔

鎌倉時代前期、国宝

興福寺の敷地の南西隅に位置する三重塔。元来の塔は平安時代(1143年)に建てられたがその後焼失し、鎌倉時代に現在の塔が
再建された。

三重塔
三重塔


[参考]
浅井和春『日本美術全集 第3巻 奈良時代Ⅱ 東大寺・正倉院と興福寺』
小学館、2013年
山本勉『日本美術全集 第7巻 鎌倉・南北朝時代Ⅰ 運慶・快慶と中世寺院』小学館、2013年

東大寺の見どころ 18選

奈良市の中心街の東部、若草山の麓に位置し、奈良を代表する観光地である東大寺は、通常大仏や鹿のイメージで思い描かれがちですが、それ以外にも天平美術をはじめとする仏教美術の傑作が多数所蔵されており、美術面での見どころも豊富です。

東大寺の数多い建築、仏像、美術品の中から、特に見どころと思われる18件をまとめました。

1. 南大門

鎌倉時代(1199年)、国宝

東大寺の南側入口に位置する門。創建は奈良時代だが、現在残っている門は平重衡の南都焼討後に再建されたもの。宋代の建築様式に倣ったいわゆる大仏様建築の代表的な作例で、門内には運慶、快慶等制作の金剛力士像が設置されている。

南大門
南大門

2. 南大門 金剛力士像

鎌倉時代(1203年)、国宝

南大門の内側左右に設置されている2体の力士像(阿形像、吽形像)。鎌倉時代の仏師4人(運慶、快慶、定覚、湛慶)の合作で、像の造形は宋代の図版を手本にしたと推定される。像高8mを超える巨大像。

南大門 金剛力士像 阿形像
南大門 金剛力士像 阿形像

3. 大仏殿

江戸時代(1691年)、国宝

東大寺の中心に位置する建物で、内部には有名な盧舎那仏坐像(大仏)が鎮座する。現存する建物は江戸時代の再建。

大仏殿
大仏殿

4. 盧舎那仏坐像

奈良時代(752年)、体部補作 鎌倉時代(1185年)、頭部補作 江戸時代(1692年)、国宝

いわゆる「大仏」。
体部は南都焼討での焼損後、頭部は三好・松永の兵乱(1567年)での焼損後にそれぞれ補作されたもので、造立当初の奈良時代から残っているのは、体部のごく一部と台座の一部のみ。台座の蓮弁には、天平期の装飾が比較的良い状態で残っている。

盧舎那仏像 (大仏)
盧舎那仏像 (大仏)

5. 金銅八角燈籠

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

東大寺大仏殿前に位置する八角形の灯籠。側面には菩薩像をかたどった優れた装飾板が施されており、東大寺ミュージアムでその原物が展示されている。燈籠本体には、現在レプリカの装飾板が入れられている。

金銅八角燈籠 羽目板
金銅八角燈籠 羽目板

6. 法華堂

正堂 奈良時代(8世紀) 礼堂 鎌倉時代(12世紀)、国宝

東大寺の敷地東部の丘状地帯(上院地区)に位置する仏堂で、奈良時代建造の正堂と鎌倉時代建造の礼堂が接合された複合建築。正堂は、東大寺に残る数少ない創建当初からの建築。堂内には、不空羂索観音、執金剛力士立像等、天平仏の傑作が安置されている。

東大寺 法華堂
東大寺 法華堂

7. 法華堂 不空羂索観音立像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の本尊で、東大寺を代表する仏像の1体。像高360cm余の巨像で、頭上には宝冠が載せられ、8本の腕を有する。東大寺の前身寺院の金鐘山房時代の制作(730年頃)と推定される。

法華堂 不空羂索観音
法華堂 不空羂索観音

8. 法華堂 梵天像、帝釈天像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の不空羂索観音の左右に設置されている脱活乾漆造の巨像(像高4m前後)。不空羂索観音に少し遅れた742年頃、以下の四天王像、金剛力士像と同時に制作されたと推定される。

9. 法華堂 四天王像

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

法華堂の須弥壇の四隅に設置されている四天王像。

法華堂 四天王像 広目天
法華堂 四天王像 広目天

10. 法華堂 金剛力士像

奈良時代(8世紀中頃)、国宝

法華堂の不空羂索観音の前面左右に設置されている金剛力士像。

法華堂 金剛力士像 阿形像
法華堂 金剛力士像 阿形像

11. 法華堂 執金剛力士立像

奈良時代(8世紀)、国宝

法華堂の北面に設置されている秘仏で、東大寺を代表する仏像の1体。本尊の不空羂索観音と同時期の制作と推定される。通常は非公開で、毎年12月16日に開扉される。

法華堂 執金剛神立像
法華堂 執金剛神立像

12. 伝日光菩薩像、伝月光菩薩像

奈良時代(8世紀)、国宝

以前法華堂不空羂索観音の両脇に配置されていた2体の菩薩像で、東大寺を代表する仏像の1組。本尊の不空羂索観音と同時期の制作と推定される。日光菩薩、月光菩薩という像名は本来のものではなく、元々はそれぞれ梵天、帝釈天だったと推定される。法華堂の大規模修理(2010年~2013年)後は、東大寺ミュージアムに移して展示されている。

伝月光菩薩立像
伝月光菩薩立像

13. 二月堂

江戸時代、国宝

上院地区の法華堂の隣に位置する堂で、江戸時代の再建建築。毎年3月には、火の着いた松明を舞台上から振り回す所作で有名な修二会(お水取り)が行われる。

二月堂
二月堂

14. 戒壇院 四天王立像

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺の敷地の西端に位置する戒壇院に安置されている四天王像で、東大寺を代表する仏像の1組。
法華堂の大規模修理(2010年~2013年)の際、同堂内にこの四天王像の台座の痕跡が見つかり、元来は法華堂に設置されていた像と判明した。法華堂創建時には、同堂内で、不空羂索観音、伝日光菩薩・伝月光菩薩等と共に一組の仏像群を形成していたと推定される。

戒壇院 四天王像 増長天
戒壇院 四天王像 増長天

15. 転害門

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺の敷地の北西端に位置する門で、法華堂と並ぶ、数少ない東大寺創建当時からの建築の遺例。

転害門
転害門

16. 東大寺金堂鎮壇具

奈良時代(8世紀)、国宝

東大寺大仏殿の床下に埋められていた装飾品や工芸品一式。明治期の大仏殿屋根の修理(1907年〜08年)の際に発掘された。永らく創建の際に埋められた鎮壇具であると考えられてきたが、近年の調査の結果、聖武天皇の逝去後に供養等の目的で埋葬されたものである可能性が指摘されている。
代表的な作品は、金銀荘大刀、瑞花六花鏡、銀製鍍金狩猟文小壷、銀製鍍金蟬形鏁子等。東大寺ミュージアムで展示。

銀製鍍金狩猟文小壺
銀製鍍金狩猟文小壺

17. 俊乗上人坐像(重源像)

鎌倉時代(1206年頃)、国宝

鎌倉期、南都焼討後の東大寺の再建事業を担った僧重源の坐像。大仏殿東側山麓の俊乗堂という小さな堂宇に安置されており、運慶あるいは快慶作と推定される。通常非公開で、毎年7月5日、12月16日のみ特別公開される。

俊乗上人坐像
俊乗上人坐像

18. 僧形八幡神坐像

鎌倉時代(1201年)、国宝

元は、東大寺敷地東部に位置する神社 手向山八幡宮に安置されていた快慶作の神像で、明治初期の神仏分離の際に東大寺に移された。大仏殿西側敷地の勧進所に安置されている。通常非公開で、毎年10月5日のみ特別公開される。


[参考]
浅井和春『日本美術全集 第3巻 奈良時代Ⅱ 東大寺・正倉院と興福寺』小学館、2013年
山本勉『日本美術全集 第7巻 鎌倉・南北朝時代Ⅰ 運慶・快慶と中世寺院』小学館、2013年